日本道路㈱<社長 石井敏行>は、花王㈱<社長 長谷部佳宏>と清水建設㈱<社長 新村達也>とともに、国際協力機構(JICA)が公募した「2024年度 中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)」について、ケニア共和国の廃棄物と道路舗装、貧困に関わる問題の解決に寄与する高耐久アスファルトの製造・販売事業の検証を共同で提案、このほどJICAと実証事業の実施に関する契約を締結しました。契約期間は2025年5月1日~2028年5月31日です。
JICA Bizは、日本の民間企業等に対して開発途上国の課題解決に貢献する事業を支援する制度で、「ニーズ確認調査」と「ビジネス化実証事業」の2つのスキームにて事業を実施しています。2024年度においては、両スキームを合わせて57件の提案が採択されました。3社の共同提案は「ビジネス化実証事業」に属します。
国内輸送の約90%を道路に依存するケニア共和国では、道路の全長が24万kmに及びますが舗装道路はわずか10%程度とされ、しかも交通量の増加や過積載車両により舗装の劣化が著しく毎年多額の補修費用が発生しています。また、廃棄物のリサイクル率は15%程度にとどまり、廃ペットボトルなどのごみ問題も深刻化しています。そこで、同国にアフリカの旗艦拠点を構える清水建設が同国の道路事情ならびに廃棄物の管理状況を踏まえ、廃PET素材を用いたアスファルト合材の製造技術を有する日本道路と花王の両社に協力を求め、JICA Bizのビジネス化実証事業に共同で応募したものです。
各社の役割は、花王が同国で回収された廃ペットボトルなどを原料にするアスファルトの高耐久化改質剤「ニュートラック」、日本道路がニュートラックを用いて製造する高耐久アスファルト「PETアスコン」の現地でのOEM製造、清水建設が同国内のネットワークを利用した販路についての検証で、3社は共同で契約期間内に事業化計画を策定するとともに、事業を実施する現地企業とのパートナーシップを締結します。事業化に成功すれば、廃ペットボトルのリサイクル促進、道路舗装の耐久性向上、廃ペットボトル収集作業に伴う雇用の創出が期待され、同国に大きなメリットをもたらします。
日本道路は、ケニア共和国で高耐久アスファルトの製造・販売の早期の事業化を目指すとともに、今後このプロジェクトを足掛かりに、アフリカの道路インフラ整備への貢献を目指します。
【参 考】
- ▮「中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)」の補足
- これまでの採択件数は1,500件を超え、うち約8割が支援事業の終了後も事業を継続しているというアンケート調査結果が出ています。
※JICAについて https://www.jica.go.jp/about/index.html - ▮ニュートラック(花王製品)
- ニュートラックは、独自のケミカルリサイクル技術で廃PET素材を加工した、アスファルトの耐久性を高める添加剤です。アスファルト合材に対して、約1%相当を添加することで、耐久性が最大約5倍向上します。
- ▮PETアスコン(日本道路製品)
- ニュートラックを使用して高耐久化させたアスファルト合材。100m2の舗装で最大で約1,500本の廃ペットボトルの再利用が可能です。
- ▮清水建設のアフリカ事業
- 清水建設は1967年にアフリカに進出、これまで16カ国で96件のプロジェクトを手掛けています。2024年にケニア共和国ナイロビにアフリカ大陸全体の事業拠点「アフリカ営業所」を設置し、地域に根差した事業活動を展開しています。現在、コートジボワールにおける交差点立体化プロジェクトとタンザニアにおける港湾整備プロジェクトの2件が進行中です。
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