気候変動対策

  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 11 住み続けられるまちづくりを
  • 13 気候変動に具体的な対策を

TCFD提言に基づく情報開示

日本道路グループ(以下、当社グループ)は、2021年10月に、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」への賛同を表明しました。TCFDの提言に基づき、気候変動関連リスクおよび機会に関する「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4項目についての情報を開示しています。

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■ガバナンス
当社グループは、気候変動を含めた環境問題を経営に影響を及ぼす重要課題と認識し、環境を担当する役員を選任しています。また、環境問題に関する基本方針や施策を審議する「ESG委員会(委員長:社長)」を設置しており、環境関連のリスクと機会を審議するとともに、環境目標である「環境ビジョン」等の進捗管理を行い、取締役会に四半期毎に報告しています。取締役会で決議された環境問題に関する重要決定事項は、「中央環境委員会(委員長:担当役員)」を通じて本社各部・支店・営業所・合材センター・関連会社・協力会社に伝達・共有され、環境関連のガバナンス体系を構築しています。

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■戦略(シナリオ分析)
当社グループでは、資材の調達・生産、施工・供給までのバリューチェーン全体を対象として、気候変動によるリスクと機会を洗い出し、事業への影響度と対応策について考察・分析を行っております。分析にあたってはIPCCやIEAが公表するシナリオを用いて、産業革命期頃の世界平均気温と比較して2100年頃までに4℃上昇するとする4℃シナリオと、カーボンニュートラルへの取り組みにより1.5℃~2℃程度に気温上昇が抑制される2℃未満シナリオの2つのシナリオを設定し、それぞれの世界観における2030年時点での当社グループへの影響について考察を実施しています。

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4℃シナリオ
化石燃料需要の成り行き的な拡大などを背景に、化石燃料価格やアスファルト原材料価格が高騰すると予測しています。また、台風や大雨をはじめとする異常気象の激甚化に伴う物理的リスクの拡大により直接的な被害が想定されますが、同時に減災・防災関連工事の需要拡大が見込まれます。

2℃未満シナリオ
炭素税や電力価格の高騰により操業コストの増加が想定される一方で、再生可能エネルギー関連施設の工事が増加することが見込まれます。気象災害による物理的被害額は4℃シナリオと比較して半減する一方で、熱中症リスクをはじめとする慢性的な気温上昇による労働効率の低下は双方のシナリオともに同程度の影響が予想されます。


これらの分析を踏まえ、具体的な対応策を各事業で検討・立案し、不確実な将来世界のあらゆる可能性に備えるとともに、今後も様々な動向を踏まえて分析を定期的に行い、評価の見直しと情報開示の質・量の充実に努めてまいります。なお、現在の取り組みについては、環境への取り組み各項でご確認ください。

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■リスク管理
今後多様化が予想される気候関連のリスクについては、ESG委員会において報告・審議されています。特定されたリスクについては業務リスク管理委員会に設置される内部統制部会にて当社グループのリスクを評価し、全社的なリスク管理体制の統合を図っております。気候変動関連リスクの管理にあたっては現業事業所の安全環境担当者、また支店各部門の安全環境担当者が、リスク情報の吸い上げ及びリスクの未然防止のための情報伝達や教育を行い、現業事業所及び支店各部門で自ら業務上のリスクを点検するための体制を整備しています。また、監査室の内部監査により、これらの実施状況の監視を実施しています。

■指標と目標
当社グループは、「中期経営計画2019」の計画達成年である2023年を短期、SDGsのゴールである2030年を中期、パリ協定が目標とする2050年を長期目標としてCO2削減目標を設定し、事業活動におけるCO2排出削減の取り組みを推進していきます。長期的なCO2削減目標は段階的に見直しを図るとともに、削減目標を確実に達成するため、「環境ビジョン」で掲げた気候変動対策の行動指針に基づいた取り組みを推進していきます。

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